ハラスメントのリスク

あなたの会社は大丈夫?

誰もがなり得る!?
ハラスメント加害者に
なるリスク

最近パワハラとかセクハラとかで、社員が会社を訴えるケースがあるんやろ?

そうですね。件数も増加傾向にありますね。

セクハラもパワハラもどこが境界線かがわからんのが難儀やな。

こちらは指導のつもりの言動でも、相手によっては「パワハラ」ととらえられるケースがありますね。

昔ながらの指導方法も気を付けないとあかんな。僕も気をつけるわ。

実は社長だけが気を付けるだけではダメなんです。

というと?

社長以外の管理職の方の指導が部下にパワハラ、セクハラととられる可能性もあるんです。

社長だけ気を付ければええっていうわけではないんやな…。

現状と概要

ハラスメントのリスク

企業に求められるハラスメント予防のための取り組み。

日本におけるハラスメントの現状は懸念されています。厚生労働省の調査によれば、2020年には約30万件の労働問題が報告され、そのうち約4割がパワーハラスメントに関するものでした。
特に上司からの嫌がらせやいじめが顕著であり、被害者の精神的・身体的な影響が深刻です。また、女性や若年層など特定のグループがハラスメントの標的になる傾向があります。これにより、労働力の流出や生産性の低下といった経済的な損失も発生しています。
企業はハラスメント予防のための取り組みを強化する必要があります。

企業のリスク対策・備え

雇用関連賠償とは

中小企業経営者の皆様が従業員を雇用する際には、従業員による不注意や不正行為によって、企業が訴訟に直面することがあります。例えば、雇用主と従業員の間での労働紛争や、労働災害などが考えられます。このような事態に備えるため、雇用関連の損害保険があります。
企業を守るための損害保険は、従業員が起こした訴訟や労働災害に関連する訴訟費用や、解雇に関する訴訟費用、雇用者責任保険、労働者災害補償保険などがあります。
これらの損害保険に加入することで、中小企業の経営者の皆様は、従業員によって引き起こされる損害や訴訟に対するリスクを軽減することができます。また、従業員とのトラブルに対応するための訴訟費用等も補償されます。

とある経営者さん同士の
ひとコマ

最近、人事トラブルが起きたときに、従業員から損害賠償請求されたらどうしようか心配になってきたな。

それなら、雇用関連賠償責任保険を検討してみるのはどうだろうか?

雇用関連賠償責任保険って何?

雇用関連賠償責任保険というのは、従業員からの損害賠償請求に備えて、会社が支払う必要のある賠償金を補償する保険だよ。例えば、労働災害やセクシュアルハラスメントなど、従業員からの損害賠償請求に対して、補償を受けることができるよ。

そうなんだ。でも、費用はどのくらいかかるの?

保険料は、会社の規模や業種、保険金額などによって異なるけど、一般的には年間数万円程度になるよ。また、保険料は会社のリスクマネジメント対策によっても変わるから、事前に保険会社と相談することをオススメするよ。

そうだね。雇用関連賠償責任保険を検討してみることにするわ。従業員とのトラブルに備えて、しっかりとリスクマネジメントをしときたいからね。

法律の専門家からひと言

弁護士のアドバイス

職場で働いていると、普段「パワハラ」という言葉をよく耳にされると思います。何となく職場でのいじめや嫌がらせといったイメージが湧きますが、具体的にどういった行為がパワハラに該当し、どのような法的責任が発生するのか、判断するのが難しいケースが多くあります。

「労働施策総合推進法」という法律をご存知でしょうか。通称「パワハラ防止法」とも呼ばれるこの法律は2020年に改正され、2022年からは中小企業においてもパワハラを防止する措置の構築が義務付けられました。その法律によれば、「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、必要な措置を講じなければならない」とされており、逆に言えば、(1)優越的な関係を背景とし、(2)業務上の必要性・相当性を超え、(3)労働者の就業環境を害する言動、がパワハラということになります。

法律の規定ですので難しく表現されていますが、厚生労働省が公表している資料によれば、暴力や暴言のほか、人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)、過大な要求(遂行不可能なことの強制)、過小な要求(程度の低い仕事を命じる、仕事を与えない)、個の侵害(プライバシーへの介入)などもパワハラの行為類型とされています。

パワハラに該当するかどうかの判断が難しいこともあり、話し合いでは解決できず裁判に持ち込まれるケースも多いです。たとえ一従業員によるパワハラであったとしても会社も使用者責任を問われ、裁判の被告となることがあります。裁判は当事者だけで進めるのは現状難しく、弁護士に依頼せざるを得ず、解決まで1年以上かかるなんてこともよくあります。

裁判所で認定されるパワハラ自体の慰謝料は必ずしも高額とはいえませんが、パワハラによりうつ病を発症して自殺に至るようなケースでは賠償金は高額となり、裁判を進めるにあたっての弁護士費用なども数十万円から100万円を超えるケースもあります。

パワハラは、いつどこでも起こりうる事象です。言うまでもなく普段からパワハラが発生しない職場環境を構築することが肝要ですが、パワハラが発生して損害賠償請求を受けた場合に備えておくことも重要となります。

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